インドで生活をする上で、また仕事をする上で知っておくよい、インド特有の考え方「ジュガード」というのがあります。
「ジュガード(Jugaad)」はヒンディー語で、その意味は「目の前にあるモノで、新しいモノを創造する」とWikipediaでは説明され、別の書籍では「斬新な工夫による応急処置」と記されています。 つまり、資源が限られている中で、工夫と機知で間に合わせの解決方法を見つけることです。
元々は、公共交通手段が不足しているという問題を解決するために、エンジニアでもないその土地の人々が知恵を絞り、間に合わせの策として、鉄製の骨格に古いジープの部品と車輪をつけ、それに感慨用のディーゼルポンプをつけた、「車もどき」を安価で作った事に由来するそうです。
こういった、足りない点を工夫により補うという発想は生活の隅々に見られます。
例えば、道端のコーヒーショップは、圧力鍋からエスプレッソマシンをつくって売り、母親は保温ボックスを保育器にし、レストランでは、大量のラッシー(ヨーグルトの様な飲み物)を素早く大量に作るために洗濯機を使うなど、 本来の目的と違った使い方をしている例は沢山あります。
※様々なジュガードの例を紹介しているFacebookページ「Jugaad Innovation LAB インドとジュガードとイノベーション」
ビジネスでの「ジュガード」の応用は今や世界中で注目されています。 成功事例としてよく挙げられるのが、タタモーターズの「タタ・ナノ」という、インドの一般の人でも手が届く安価な車です。(25万円程度)
アルミニウム製のエンジンを開発し鉄鋼使用量を減らしたり、車輪を車体の端に移す事でスペースを増やしたりと、無駄を減らし、発想の転換により驚異の価格を実現させました。 最初はインド市場向けに作られ、今ではアジアの一部の国で販売され、上級モデルに至っては、既成の厳しい欧州や米国市場にも対応しているそうです。

タタ・ナノ
そして、このジュガードの精神は今やグローバル化がすすみ、「シリコンバレー」でも良く使われるそうです。 「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「ハーバード・ビジネス・レビュー」で紹介され、マッキンゼーのコンサルタントが、経営理念におけるインド発の最新トレンドとしてジュガードを位置づけ、インドの大学では経営学上の論理の一つとなっています。 このように、ビジネス、そして生活の中に根付く「ジュガード」の精神は インド人やインドでの生活を理解する上でとても大切な要素です。
次回は、このジュガード精神の、「創意工夫」とは別の側面、 「なんとかなる精神」についてご紹介したいと思います。
参考文献:「インド人コンサルタントが教えるインドビジネのルール」
1 Comment
Helen 2013/09/21 -
That really cateurps the spirit of it. Thanks for posting.